【日本語】イギリスがEU離脱 =Brexit【英語】

VOICES OF THE YEAR
今年の声

「Brexit」 EU離脱
6月に国民投票がありましたが、投票前は残留派と離脱派と分かれほとんどの人たちが最終的には残留するのかと思っていましたが、離脱となってしまいました。

一番驚いたのは当時の首相、キャメロン首相だったのではないでしょうか。

デービッド・キャメロン前首相は離脱をしようという声を完全に抑え込むために、
国民投票をしたのですがそれが裏目に出てしまいました。

自国民が難民が多く入ってくることに嫌がっていることに気付かずに首相を辞任に追い込まれました。


デービッド・キャメロン前首相
EUからの離脱決定後の辞任表明会見(6月24日)

デービッド・キャメロン前首相

I will do everything I can as prime minister to steady the ship over the coming weeks and months, but I do not think it would be right for me to try to be the captain that steers our country to its next destination.

この船を安定させるため、これからの数週間と数か月間に、私は首相としてできる限り全てを行います。しかし、わが国を次の目的地へと舵取りしていく船長に私がなろうとすることが正しいとは思いません

解説
the ship「この船」とは英国のこと、the captain「その船長」とは首相のことです。EU離脱を決めたことで、英国という船は嵐に揺れることとなり、steady「安定させる」ことをしないと船は沈没するかもしれないというキャメロン首相の見方が反映された言葉です。
its next destination「次の目的地」とは、「EUからの離脱」を指しています。



キャメロン首相が辞任した後に首相に就任したのはテリーザ・メイ首相。
キャメロン政権で内相を務めた人です。
EUについては懐疑的ではありましたが、離脱派すべきではないと考えていた人物です。融和を目指すため派手な残留キャンペーンには参加していないなど余計な敵をつくらない調整型の人物。
人となれ合ったり、感情を表に出さないと言われ氷の女王とも言われてるのですが、お料理とファッションが趣味でおしゃれな靴をたくさん所有しているとしても有名です。

10月になってEU離脱の手続きは2017年3月から開始すると宣言しました。

テリーザ・メイ首相
EUからの離脱手続き開始時期を表明(10月2日)

テリーザ・メイ首相

Having voted to leave, I know that the public will soon expect to see, on the horizon, the point at which Britain does formally leave the European Union.

離脱することに投票したのですから、国民が間もなく、水平線上に、英国が欧州連合を正式に離脱する時点というものが見えることを期待するだろうと承知しています。

解説
on the horizonは「水平線上に、地平線上に、視野内に」です。
the European Unionは「欧州連合(EU)」ですが、テレビ・ラジオのニュースでは耳で聞いてわかりやすいように「ヨーロッパ連合」とも表現されます。


So let me be absolutely clear. There will be no unnecessary delays in invoking Article 50. We will invoke it when we are ready, and we will be ready soon. We will invoke Article 50 no later than the end of March next year.

ですから、完全に明確にさせてください。第50条を発動するにあたり、不必要に遅れることはありません。英国は、準備ができたときに発動します、そして英国はすぐに準備ができます。英国は、来年の3月末よりも遅れることなく、第50条を発動します。

解説
Article 50は、EUの基本条約であるリスボン条約「第50条」で、離脱の手続きを定めています。


EUを離脱する国はまずそのことをEU理事会に通告することになっています。
その時点から離脱の交渉が始まるのですが、交渉の期間は最大2年あります。メイ首相の立場から考えてると、なるべくEU離脱をイギリスにとって不利益にならないように進めなくてはいけないので非常に大変です。

イギリスはEUという単一の市場に参加しながらも、治安の悪化につながる移民の制限はしたいと思っています。EUからすれば移民の移動拒否を受け入れてしまえば、移民の自由というEUの基本理念を放棄することになってしまいますので、もしイギリスが移民を受け入れないのだったらEU市場への参加は認められませんという立場です。

そんな中で落としどころを見つけなくてはいけないので非常に大変な交渉です。今後はイギリスとEUの関係について注目していきたいところです。